翻訳テクニック集 目次

code fragment

IT系の英文を読んでいると、よくcode fragmentという言葉が出てきます。

The following sample code fragment can be used in a WordPress loop to get post categories.

これがそのまま日本語で「コード フラグメント」と翻訳されている例をあちこちで見かけます。

WordPressループで以下のサンプル コード フラグメントを使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

コード フラグメントって何でしょうか。

英語のfragmentは断片という意味です。このfragmentは、ほかにもっと大きなコードが存在し、掲載しているfragmentがその一部に該当することを暗に示しています。このfragmentをそのままカタカナに置き換えて「フラグメント」と言われても、何のことか分かりません。かといって「断片」と翻訳するわけにもいきません。

WordPressループで以下のサンプル コードの断片を使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

日本語で「コードの断片」という場面はごく限られています。上記の意味で「コードの断片」ということはありません。

以下のように書き換えれば違和感を解消できます。

WordPressループで以下のサンプル コード片を使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

「コード片」といえば済む話ですから、それを使うべきであり、カタカナで「コード フラグメント」とすべきではありません。

この「コード片」をいう訳語で一件落着、とくれば簡単ですが、果たして読者は、ここに掲載されているコードが小片かどうかを意識するでしょうか。

日本人は頭に浮かべている事物が全体か一部かを意識しないようです。対照的に、英米人は意識するようです。そういえば、単数と複数の違いも集合かどうかですし、a set ofも集合を意識した表現です。英語というのは、常に何かにつけて全体と個体を区別する言語のようです。

掲載されているコードが断片であるかどうかを日本人が意識しないなら、いっそのこと日本語訳からfragmentを省いてしまえば訳文がシンプルになり、読みやすくなります。

WordPressループで以下のサンプル コードを使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

WordPressループで以下のコード例を使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

どうしてもfragmentに対応する訳を残しておきたい場合は「コード片」という用語が使えます。

WordPressループで以下のサンプル コード片を使用すると、投稿のカテゴリーを取得できます。

いずれにしても「コード フラグメント」は論外です。何でもかんでもカタカナに置き換えればよい、というわけではないのです。

類似の表現としてcode snippetがあります。

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