私が翻訳します

水谷 淑見 (MIZUTANI, Yoshimi)

翻訳歴28年。翻訳会社でマネージャーを務めた後、2001年に独立。翻訳の専門分野はITと電気工学。

C++のプログラマでもあります。翻訳業務を効率化するための各種ツールはC++とPerlで開発し、運用しています。とにかくプログラミングが大好き。現在は機械学習に取り組んでいます。

取得資格:

  • 第2種電気主任技術者
  • 電気通信主任技術者 (伝送交換)
など

パソコンとの出会い

プログラミングを始めたのは小学5年生の冬。日本でパソコンが普及し始めたころでした。完全な趣味です。家で父がPC-8801というパソコンを使っていたので、それを借りていました。

当時は、パソコンで何かしようとすると、自分でプログラムを組むか、雑誌に掲載されたプログラムを入力して走らせるのが主流でした。もちろん、お小遣いに限りのある小中学生では市販のソフトに手が届きません。最初に使ったプログラミング言語は組み込みのBASIC。やがてZ80のアセンブリ言語を覚え、部屋にコード表を貼り出す始末。16進コードを見ればどんな命令か分かったというマニアックな子供でした。

中学生のころ、ある雑誌の連載記事が目にとまりました。バグ (プログラムの誤り) を出しにくいコーディング技法についての連載でした。何度も何度も読み返して勉強し、実践しました。翻訳の品質管理は、このときに学んだ考え方をベースにしています。

英語との出会い

英語に興味を持ったのも中学生のとき。中学校に入って始まった英語の授業がきっかけでした。興味の対象は会話でも歌でもなく、言語そのもの。日本語とまったく違う文法にひかれました。英語の先生に恵まれたのは幸運でした。教科書を丸覚えさせる先生で、授業中は教科書を音読してばかり。英文を日本語に訳させることがなく、辞書はまったく使いませんでした。

辞書を使い始めたのは高校に入ってからです。すぐに英英辞典を使い始めました。英英辞典は、英語の単語や熟語が英語で説明されている辞書であり、アメリカやイギリスではこれが「国語辞典」にあたります。当然、日本語は書かれていません。英文を日本語に訳せと言われるたびに、英英辞典に載っている語釈から訳語をひねり出していました。振り返ると、今の翻訳姿勢はこのときに築かれたようです。

パソコンが好きでしたが、学生時代の専攻は電気工学。電磁気学、回路計算、発電や送電、電動機のほか、トランジスタ回路やオペアンプについても勉強しました。一番好きだったのは水力発電の計算です。

もちろん英語の勉強も続けていました。利用したのはラジオ講座「やさしいビジネス英語」。高校生のころからこの講座で勉強していましたが、レベルが高くて、ついていくのがやっとでした。リスナーの間では (親しみをこめて) ちっともやさしくないビジネス英語といわれていました。

翻訳の世界へ

転機は大学院在学中に訪れました。昼食後にいつものように生協をぶらぶらしていたところ、技術翻訳の解説書が目に飛び込んできました。その瞬間、大好きな英語とITがつながりました。これをきっかけに翻訳の道へ。

翻訳を独学しながら、業界に食い込むチャンスをうかがいました。運よく求人広告を見つけ、まずは修行と翻訳会社に就職。1996年のことです。翻訳事業部を新規に開設したばかりの会社で、立ち上げのスタッフを募集していたものです。

入社3カ月後に、同社の取引先が実施するトライアル (翻訳の試験) を受験しました。その取引先から翻訳を受注するためには、このトライアルに合格しないといけません。トライアルの結果、訳文の最終的な品質管理を担当するように先方から指名され、翻訳の実務経験がないまま翻訳チームのリーダーになりました。

いつの間にか翻訳マネージャーに

そのままなぜか翻訳マネージャーとして翻訳事業部を任されることに。しかし新設の事業部です。翻訳業務に関するノウハウはまったく蓄積されていません。手探りでの翻訳業務が続きました。

前記のクライアントのほか、企業や個人から翻訳の依頼を受け、納期や料金について交渉し、社内や在宅の翻訳者に翻訳を割り振り (コーディネート)、出来上がった訳文を回収してチェックし (品質管理)、必要に応じて訳文を書き換え (リライト)、クライアントに納品します。翻訳者がフル稼働しているときや、受注した翻訳の適任者がいないときは、私も訳文の作成にたずさわりました。

この間、クライアントからは高く安定した品質を評価され、私が退職するまで4年にわたって継続的に翻訳案件を受注しました。前記のクライアントからは、翻訳品質が不安定な翻訳会社が多い中、このように長期の取引が続くケースはまれだとの評価をいただきました。

翻訳のほかに、同社入社直後から、市販の翻訳ソフトと翻訳支援ツールを連係させて翻訳プロセスを機械化する方法についても研究しました。機械化に必要なソフトウェアは自身で開発しました。開発には主にC++言語を使用し、Perlを併用しました。市販翻訳ソフトの応用は今でも続けています (IT系マニュアルの翻訳に使用しています)。

もともと私は現場での翻訳を希望しており、翻訳マネージャーになるつもりはありませんでしたが、同社ではとてもよい経験を積むことができました。同社退職後は、ソフトウェア開発会社での勤務を経て2001年に独立。現在に至ります。

翻訳講座のご案内

翻訳のお問い合わせはこちら