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問題文は以下のとおりです。
この文は以下の2文から構成されています。
- チョコレートは高温になると、その油脂分が溶け出しそれが冷えて固まると白くなることがあります。
- 風味は劣りますが、召しあがっても身体にさしさわりありません。
まず1文目から検討していきましょう。
1文目は以下の要素から構成されています (文を分解してテンをすべて取り除きました)。
- チョコレートは
- 高温になると
- その油脂分が溶け出し
- それが冷えて
- 固まると
- 白くなることがあります
この文の修飾関係は以下のようになっています。
テンを原則どおりに打っていきます。
最初の原則として 列挙する語句の間にテンを打つこととなっていますが、該当する列挙はありません。 次に、文を接続する連用形の後にテンを打ちます。 3番目の要素が該当します。
- チョコレートは
- 高温になると
- その油脂分が溶け出し、
- それが冷えて
- 固まると
- 白くなることがあります
打ってはならない余分なテンがなくなったので、文をつなぎます。
この状態では最初の要素「チョコレートは」と2〜3番目の要素「高温になるとその油脂分が溶け出し」が密接に結び付いています。その結び付きを弱くするために、間にテンを打つことができます。
ただし、この位置にテンが必須というわけではありません。 助詞「は」から分かるように、「チョコレートは」は文全体の主題を提示しています。 当初の主題が文の途中で切り替わっていないので、その主題が文末まで引き継がれます。 つまり、提示された主題「チョコレート」は後半の部分「それが冷えて固まると白くなることがあります」にもかかっています。 そのため、「チョコレートは」の後でいったんテンで切らなくても、「チョコレートは」が文前半のみを修飾すると誤解されることはありません。
この位置にテンを打っても打たなくても構いませんが、ここでは打って主題を際立たせることにしましょう。
最終的には以下のようになります。
次に2番目の文について検討していきます。
この文は以下の2つの要素を適切にテンでつないでいます。
- 風味は劣りますが
- 召しあがっても身体にさしさわりありません
したがって、テンを訂正する必要はありません。 ただし、「……が」という言葉が2つの文の切れ目を示しているため、「……が」の後のテンはなくても構いません (「……して」に似ています)。
以上をまとめると以下のようになります。
冒頭に示した問題文と比較してみてください。
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