翻訳入門講座のねらい

この講座では、技術英語を日本語に翻訳するための基礎技術について学びます。

技術翻訳ではマニュアル、カタログ、Webサイト、特許明細書、論文などさまざまな文書を扱いますが、いずれの文書も情報の伝達という共通の目的を持っています。そのため、これらの英文は「いかに読者に分かりやすく情報を提供するか」という観点から作成されています。欧米ではこの「分かりやすい英文を書く」ための方法論がテクニカルライティングとして確立されており、 一定のルールに基づいて英文が作成されます。

テニスや野球も形から。では翻訳は?

一定のルールで作成された英文はどのように翻訳したらよいでしょうか。 技術翻訳では、翻訳者の「感覚」はあまりアテになりません。 一定のルールに従って作成された英文は、一定のルールに従って翻訳することができます。 つまり、技術英語の構文を理解し、的確に日本語に翻訳する方法を身につければ、かなり多くの英文を適切に翻訳できるようになります。 この講座は、以下の2点を目的としています。

  1. 技術翻訳の「形」を覚えること

    一流のスポーツ選手が見せる華麗なプレーの裏には、必ず地道な基礎練習があります。ラケットやバットを手に、一人黙々と素振りをしながらフォームを確認しているはずです。この講座は、そんな「素振り」のような講座です。

  2. 直感やひらめきによる翻訳を頭の中から排除すること

    翻訳を仕事として行うには、つまり翻訳で食べていくには、翻訳の品質にムラがあってはなりません。昨日の翻訳も、今日の翻訳も、明日の翻訳も、いずれも一定の品質でなければなりません。そのためには、一定の翻訳方法を身につけるのが一番です。直感やひらめきに頼っていると、訳文の品質にムラが出てしまいます。

一流選手になるために、いったん自分の悪いクセを消し去りましょう。 テニスや野球も形から入ります。翻訳も形から覚えてください。

この「形」を覚えてしまうと、技術文書の大半をカバーすることができます。 形から入れるため、産業翻訳は翻訳者としてデビューするまでのハードルが低く、取り組みやすい分野です。 この講座では、比較的身近なIT分野から例文をとって解説しています。 もちろん、この講座で扱う翻訳技術は他の分野の翻訳にも、さらには小説や絵本の翻訳にも適用することができます。

この講座には、翻訳現場で新人翻訳者のOJTにたずさわってきた経験に基づき、初心者が最優先で身につけなければならないエッセンスを盛り込んであります。 枝葉末節は思い切ってそぎ落とし、余計な回り道をなくしました。 テキストの作成にあたっては、通学制翻訳講座での経験を踏まえ、教室のホワイトボードで説明するように1段階ずつ翻訳の手順を示しました。 文字どおりの基礎練習です。

翻訳に対する今までの考えを一度捨ててください。直感やひらめきによる翻訳から脱却した後には、きっと新しい発見があることでしょう。

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