技術翻訳の前に

キーポイント
  • 訳語・表記・表現を統一する
  • 漢字を多用しない
  • 独自の訳語をあててよいか判断する
  • 数値はコピーして貼り付ける
  • 逐語訳を心がける
  • 翻訳スピードを把握する

この章の目次

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翻訳の前に

翻訳は、ある言語から別の言語に書き換えるだけではありません。

確かに、2つの言語の間で書き換えるには書き換えるのですが、それ以外の要素も多いのです。

訳文の書き方も、学校で教わらない事柄ばかりです。

日本語は知ってる。書き方も分かる。

そんなことを言わずに、まずここからスタート。

訳語を統一する

英単語の中には、複数の訳語が考えられるものがあります。 例として、以下の英文について考えてみます。

Errors are reported at the bottom of the window.

この英文は以下のいずれにも翻訳することができます。

エラーはウィンドウの下部に報告されます。

エラーはウィンドウの下部にレポートされます。

「報告」という言葉も「レポート」という言葉も日本語として十分に定着しているため、意味は十分に伝わり、いずれも誤訳とは言えません。このように、原語によってはいくつかの訳し方が考えられ、いずれの訳語も正しい場合があります。

ここで問題が発生します。 このような語句の場合は、翻訳する人の好みやクセが訳文に現れやすいのです。

近年、マニュアルはますます大規模化しており、数百ページを超えるマニュアルが当たり前になってきました。このような大規模な文書を1人で翻訳していては非常に時間がかかってしまい、新製品の発売に間に合いません。このため、大規模な文書は通常、複数の翻訳者で分担して翻訳します。

このとき、複数の翻訳者が異なる訳語を使用したらどうなるでしょうか。 例えば、ある人がreportを「報告」と翻訳し、別の人が「レポート」と翻訳したとすると、見た目が悪いだけでなく、検索しても情報がヒットせず、正確な索引を作成することができません。索引の場合は、項目が「報告」と「レポート」の2箇所に分かれてしまいます。これでは必要な情報を探すことができません。

訳文の中で、同じ意味を指す訳語が複数混在している状態を、翻訳業界では「訳語が揺れている」といいます。

訳語が揺れていると、読者の理解も妨げてしまいます。

例えば、ある製品にGenerator機能があるとします。 ある章では「ジェネレータ」と呼び、別の章では「生成機能」と呼んでいると、 読者は同じ機能を指していることが分かりません。 ソフトウェアのマニュアルの場合は、画面と照らし合わせながらマニュアルを読むこともあるでしょう。画面に表示される語句とマニュアルの語句が異なっていると、ユーザが混乱します。

このような問題が発生するため、訳語は必ず統一しなければなりません。 複数の翻訳者で翻訳する場合は、訳語の一覧表を作成し、互いに訳語の統一を図らなければなりません。

通常、大手クライアントは自社で使用する訳語の一覧表を用意し、社内で使用する用語を統一しています。このため、大手クライアントから発注された翻訳では用語集が提供される場合があります。用語集が提供されている場合は、その訳語に従います。

また、バージョンアップした製品のマニュアルを作成する場合には旧バージョンの文書 (旧版) が提供される場合があります。このような場合は旧版の訳語に従います。

しかし、用語集や旧版が提供されている場合でも、それらに記載されていない用語については複数の翻訳者がすべて同じ訳語をあてるとは限りません。 そのため、責任ある翻訳会社は、訳語を調整するための担当者を置き、文書全体にわたって訳語を統一しています。 この場合でも、1人の翻訳者が翻訳した範囲について訳語が統一されていれば、検索・置換によって訳語を統一するのも容易です。

翻訳に慣れていない人は訳語が揺れがちです。翻訳を始めた頃は「報告」と翻訳していたが、いつの間にか「レポート」になっている、ということもあります。 訳語の統一には特に注意してください。

では、訳語を統一するためにはどのようにしたらよいでしょうか。

訳語リストを作成する
提供されている用語集や旧版に記載されていない訳語については、自身で新規に訳語をあてる必要があります。このとき、原語と訳語の対応表を作成しておくと、訳語を統一しやすくなるだけでなく、訳語の調査が楽になります。また、訳文を翻訳会社に納品するときにはこの訳語リストを添付するようにします。
確認を怠らない
「面倒だから」「多分この訳語でいいだろう」「たしかこの訳語だったはず」といって訳語の確認を怠ると、訳語がばらついてしまいます。結果として翻訳品質が下がってしまい、自身の評価を落とすことになります。

また、訳語の統一は文書内の専門用語に限りません。 例えば、ソフトウェアのマニュアルに以下のような手順書きがあるとします。

  1. Log on to Windows as an administrator.
  2. Insert the Setup DVD. The Setup window opens automatically.
  3. Click Next at the bottom of the window.
  4. ...

この英文はどのように翻訳すべきでしょうか。Setup DVDは「セットアップDVD」でしょうか「設定DVD」でしょうか。「インストールDVD」のように原文から推測できない名前が付いている可能性もあります。実際の製品を確認せずに訳語をあてるのは危険です。Setup windowについても同様で、実際に画面に表示される訳語とマニュアルに記載された訳語が一致していなければユーザが混乱してしまいます。

このように、原文を見ただけでは訳語をあてられない場合は以下のような対処方法をとることができますが、対処方法についてはクライアントと話し合って決めるのがベストです。

実際の製品に使われた訳文ファイルを受け取って調べる。
訳文ファイルがクライアントから提供される場合もあります。
クライアントに随時問い合わせる。
クライアントから随時問い合わせるように指示があった場合、または問い合わせの許可が出ている場合に限ります。
英字のまま残しておき、納品先に申し送りをする。
訳語を調べて埋め込む担当者がクライアントに置かれている場合に行われる方法です。
暫定的な訳語をあてておき、暫定訳の一覧表を訳文に添付する。
製品の翻訳よりもマニュアルの翻訳が先行している場合や、訳語を調べて埋め込む余裕がクライアントにない場合に行われます。
実際の製品を受け取って実機で調べる。
機密保持の関係から、あまり行われません。この場合には、製品をインストールして実行できる環境を翻訳者側で用意する必要があります。

なお、画面に表示される語句や製品の表面に記載されている語句に対しては、通常の語句と区別して特別な表記を採用する場合があります。例えば、パソコン ソフトの画面に表示されるウィンドウの名前には、主に以下の表記方法が使用されます。 角かっこで囲むのは主にMicrosoft系の書き方です。 かっこで囲んでさらに太字にする場合もあります。

角かっこで囲む   例: [設定] ウィンドウ
カギかっこで囲む   例: 「設定」 ウィンドウ
太字にする   例: 設定ウィンドウ

この表記についてもクライアントに確認するのがベストです。 特に指定がない場合は、文書の性質に応じて適切な表記を採用します。 この講座では角かっこ [ ] で囲む表記を採用しています。

表記を統一する

訳語の統一とも関連しますが、表記を統一しないと見栄えが悪くなります。

データの書込は [OK] ボタンをクリックするまで先送りされます。

データの書込みは [OK] ボタンをクリックするまで先送りされます。

データの書き込みは [OK] ボタンをクリックするまで先送りされます。

日本語では上記のいずれの書き方も許容されています。 このような表記も統一しなければ、訳語が混在している場合と同じような問題が発生してしまいます。

また、カタカナ語では末尾の長音記号を省略して「コンピュータ」と表記する場合も、長音記号を残して「コンピューター」と表記する場合もあります。長音記号の表記方法も文書全体で統一しておく必要があります。

さらに、カタカナ語の場合は複合語についてもいくつかの表記が考えられます。

半角スペースで区切る   例: システム ファイル
中黒 (・) で区切る   例: システム・ファイル
区切らない   例: システムファイル

カタカナ語が長い場合には区切り、短い場合には区切らないとする表記方法を採用しているクライアントもあります。

通常、大手クライアントは表記の規則を定めているので、規約集が配布されます。規約集が提供されている場合は、その規約に従います。 規約集が存在しない場合は、個人個人で一定のルールを定め、自己管理しなければなりません。 本講座では、以下の表記を採用して統一を図っています。

  • 送りがなは原則としてすべて送る。
    採用: 書き込み
    不採用: 書込み、書込
  • 送りがなは変化する箇所から送る。
    採用: 行う
    不採用: 行なう
  • 原語の末尾が-ar、-er、-orの場合、カタカナ語の末尾の長音記号を省略する。
  • カタカナ語の複合語は半角スペースで区切る。

表現を統一する

さらに、似たような英文は似たような訳文に翻訳しなければなりません。例えば、コマンド リファレンスでは、コマンドの使用方法を説明するときに定型的な表現を繰り返し使用します。例を示します。

del

Syntax: del filename options

Parameters: filename The name of the file to be deleted.

Options: /P Prints the confirmation message for each file before deletion.

Function: This command deletes one or more files specified by filename. ...

Examples: del foo.txt

Deletes foo.txt at the current directory.

同様に、APIリファレンスや関数リファレンスでも定型的な表現が繰り返し使用されます。また、エラー メッセージに関する説明でも定型的な表現が繰り返されます。

Symbol symbol is not defined.

Error Code: 1002

Explanation: The symbol indicated in the error message has not been defined in the source file.

Possible Causes:

  • The symbol is incorrectly spelled.
  • The required include file is not included.

このような定型表現が繰り返される場合は、すべて同じような訳し方をしなければなりません。例えば、あるエラー メッセージで以下のように翻訳したにもかかわらず、

Possible Causes:

  • The symbol is incorrectly spelled.
  • The required include file is not included.

原因:

  • symbolのつづりが誤っている。
  • 必要なインクルード ファイルがインクルードされていない。

別の項目で以下のように翻訳していてはなりません。

Possible Causes:

  • A variable is used for the parameter.
  • The size of the parameter cannot be determined during compilation.

考えられる原因:

  • パラメータに変数が使用されています。
  • パラメータのサイズをコンパイル時に決定することができません。

この訳例には以下の問題があります。

  • 見出し「Possible Causes」に対する訳語が統一されていない。
  • 箇条書きの文体として「である」体と「ですます」体が混在している。

このような点も統一しておく必要があります。

多くの人に読みやすく

文章には、大きく分けて以下の2つの目的があります。

  • 表現する
  • 伝達する

「記録する」という目的は未来に対する伝達と考えられるので、ここでは伝達の中に含めておきます。

表現を目的とした文章の代表的な例としては文学作品があげられます。 文学作品では文体や言葉遣いそのものが重要な意味を持ちます。

一方、 技術文書は誰かに何かを伝えることを目的としています。例えば、マニュアルはユーザに操作方法や技術的背景を伝えます。論文は読者に研究成果を伝えます。カタログ、仕様書、報告書、特許明細書などもすべて情報の伝達を目的としています。

情報を伝達するための文書は多くの人が読みます。このため、多くの人にとって読みやすい文章を書くことが重要です。翻訳の場合は、多くの人にとって読みやすい訳文を書く必要があります。

それでは、読みやすい文章を書くにはどのような点に注意する必要があるでしょうか。

難解な漢字を使用しない

漢字は常用漢字の範囲を目安として使用します。 ただし、用語によっては常用漢字外の漢字が使用されている場合もあります。この場合は常用漢字の範囲にこだわらずに、その専門分野の慣習に従います。

例えば、通信分野では通信回線の混雑をcongestionといい、「輻輳」と翻訳します。この「輻輳」は常用漢字の範囲外ですが、「ふくそう」とひらがなで表記するとかえって読みにくくなります (ただし、ひらがな表記を採用しているクライアントもあります)。

漢字を多用しない

もともとの漢字の意味が薄れている場合は漢字を使用しません。 一般に、日本語の副詞、接続詞、非自立語はひらがなで表記します。 また、常用漢字表の付表で認められている一部の当て字 (「今日」など) を除き、当て字を使用してはなりません。

使用する使用しない
作成することができます 作成するができます
検索することができます 検索することが出来ます
検索するため 検索する
本製品をインストールするときには 本製品をインストールするには
したがって、以下のようになります。(接続詞) 従って、以下のようになります。
ファイルがある位置 ファイルが有る位置
自動的に削除されることはないので 自動的に削除されることは無いので
時刻はまもなく7時になります 時刻はまもなく7時に成ります
水は水素と酸素から成ります 水は水素と酸素からなります
しかし 然し
ただし 但し
なお
高速かつ大容量 高速且つ大容量
ユーザがまったく存在しない場合は ユーザが全く存在しない場合は
更に さらに

以下の語句については日常生活でいくつかの表記が使用されており、いずれの表記を採用するかはクライアントに応じて異なります。本講座では左側の表記を採用しています。

本講座で採用本講座で不採用
……してください ……して下さい
AおよびB A及びB
AまたはB A又はB
例えば たとえば
既に存在するファイル すでに存在するファイル
一切関係ありません いっさい関係ありません

難解な言葉や古風な言葉を使用しない

日常生活で見聞きすることのない文学的な言葉や古語を技術文書に使用してはなりません。 例えば、以下のような言葉は技術文書にふさわしくありません。

されど……
かような状況は……
……することであります
どのような言葉が適切な表現かを知るには、日頃から新聞や雑誌、家電製品の説明書などを注意深く読むように心がけてください。

適切な訳語を使用する

辞書に記載されている専門用語はそのまま使用します。 技術文書の対象読者として技術者が想定されている場合は、その文書に出てくる専門用語の意味を理解できるレベルにあると考えます。 専門用語の後に市販の用語集から拾った解説を付ける人がいますが、原文に解説文がない限り、余計な説明を付けてはなりません。

This software runs on UNIX operating system.
(×) このソフトウェアはUNIXオペレーティング システム (入出力、メモリ管理、タスク管理などを行うソフトウェア) で動作します。
(○) このソフトウェアはUNIXオペレーティング システムで動作します。

かっこの中でoperating systemの意味を説明していますが、こんな説明を勝手に付けてはなりません。

また、技術者向けの文書にもかかわらず一般市民向けの言葉を使用すると、かえって理解しにくくなります。例えば、新聞ではoperating systemを「基本ソフト」と呼んでいますが、技術文書でこの用語を使用するのは不適切です。

A new version of the operating system is released.
(×) 新しいバージョンの基本ソフトがリリースされました。
(○) 新しいバージョンのオペレーティング システムがリリースされました。

また、パソコン初心者向けの雑誌ではMicrosoft Windowsを「マイクロソフト ウィンドウズ」と表記しているものが多く見られますが、これはあくまで初心者を対象とした場合の話です。通常は英字のままMicrosoft Windowsと表記します (原語のまま転記する、といいます)。

俗語や話し言葉を使用しない

多くの人が読む技術文書に俗語はふさわしくありません。 また、文書としての体裁を整えるためにも書き言葉を使用してください。 Run the program.
(×) プログラムを走らせます。
(○) プログラムを実行します。

文章の構造を単純にする

長い文章は理解しにくくなります。以下の訳文のいずれが理解しやすいでしょうか (元の英文もかなりひどいものですが)。

This function takes the reference to a Date object, which is composed of three elements: year, month, and day, which represent the year, month, and day parts of the current date respectively and are defined as int.

この関数は、それぞれint型として定義されている現在の日付の年、月、日の部分を表すyear、month、dayの3つの要素から構成されるDateオブジェクトへの参照をとります。

この関数はDateオブジェクトへの参照をとります。このオブジェクトはyear、month、dayの3つの要素から構成されます。これらの要素はそれぞれ現在の日付の年、月、日を表し、int型として定義されています。

訳文をシンプルにすると、読みやすく、分かりやすくなります。 さまざまな翻訳技術を組み合わせることで、文の構造をシンプルにすることができます。 そのテクニックについては、これから学習していきましょう。

数値はコピーして貼り付ける

ファイルが何件、メモリ容量が何GB、といった数値は、原文でも訳文でも同じ数値を書くことになります。 この場合は、原文にある元の数値をコピーして訳文に貼り付けます。 手入力すると入力ミスの危険性があるので、必ずコピーして貼り付けます。

数値がたった1〜2桁の場合は、コピーして貼り付けるより、その数値をキーボードから入力した方が早いと感じる人もいるでしょう。それでも、必ず原文からコピーして訳文に貼り付けてください。人間は、どんなに気をつけても必ず間違いを犯します。数値の間違いは大きな問題につながります。うっかりミスを防ぐために、必ずコピーして貼り付けましょう。

同様に、会社名や製品名を英字で表記するときも、原文からコピーして貼り付けます。

場合によっては、原文にある数値をそのまま訳文に転記するのではなく、換算して訳出する必要があります。

例えば、原文にインチ単位の数値が出てきたとします。 日本でも慣習としてインチ単位で表記される分野であれば、そのままインチ表記します (もちろん数値をコピーして貼り付けます)。

Display size: 6.5 inches
(訳1-1) 画面サイズ: 6.5インチ
(訳1-2) 画面サイズ: 6.5型

日本でインチ単位が使われない分野では、cmやmmに換算して訳出します。

Recommended paper width: 5-10 inches
(訳2-1) 推奨用紙幅: 12.7〜25.4 cm
(訳2-2) 推奨用紙幅: 12.7〜25.4 cm (5〜10インチ)

このとき、元のインチ単位の数値を併記するかどうかは、状況に応じて判断します。 併記するかどうか、翻訳の発注元から指示がある場合もあります。 よく分からない場合は、かっこ書きで元の数値を併記すると無難です。 詳しくは別の項目で解説します。

逐語訳の重要性

おそらく、ほとんどの人は、翻訳するときに滑らかな訳文となるように注意を払うでしょう。 訳文が滑らかで読みやすいことは重要ですが、訳文の滑らかさを重視するあまり、誤訳になってしまっては意味がありません。

翻訳経験が浅いうちは、まず逐語訳を正確に作成することを心がけてください。 逐語訳には以下の効用があり、初心者にとって大変有効です。 翻訳の経験を積み、カンどころが分かるようになったら逐語訳も卒業です。

先入観を捨てる
「この文はこういうことを言っているのだろう」と早合点すると誤訳になってしまいます。 この種の誤りは、原文をよく理解できない場合や、逆に十分な専門知識がある場合に陥りがちです。 原文の意味を正確にくみ取るためにも、まずは逐語訳を心がけてください。
訳漏れを防ぐ
勢いにまかせて翻訳すると、助動詞などの「短くても重要な言葉」を訳し忘れてしまいます。まだ翻訳に慣れないうちは逐語訳を心がけ、翻訳の実績を積んで評価を固めていくのが得策です。
文体を統一する
ひとつの文書を複数の翻訳者で分担して翻訳する場合は、最終的にあたかも1人の翻訳者が翻訳したかのような均質な訳文となるのが理想的です。翻訳者がそれぞれまちまちな文体で翻訳すると、個々の訳文をまとめ上げたときに全体のバランスが取れなくなります。各翻訳者が逐語訳で訳出すれば、全体の訳文を調整するのも容易になります。

翻訳スピードを把握する

趣味で翻訳する場合はともかく、 仕事として翻訳する場合は翻訳のスピードを把握していなければなりません。 翻訳についてクライアントから打診があったときには、文書の内容、言語、量を考慮して訳文の納期を設定します。 自分で対応できる限界を超えて受注し、納品が遅れてしまうとクライアントに大きな迷惑がかかるだけでなく、信頼を失うことになります。 また、翻訳を受注した後は、自分でペースを管理しながら作業を進めていきます。 翻訳するときには、必ず時間を測ってください。

翻訳する文書の内容にもよりますが、英語から日本語に翻訳する場合の標準的な翻訳スピードは1日あたり英文2000〜2500語と言われます。 実際の業務ではこのペースを毎日維持し、かつ一定の品質を保って訳文を作成していく必要があります。これより翻訳が遅い場合はクライアントの要求に対応できません。 それだけでなく、翻訳の報酬は通常、出来高制で算定されるため、1日の翻訳量が少なければ満足な収入も得られません。

また、翻訳のスピードと品質は密接に関連しています。 翻訳が遅いのは必要な翻訳技術や語学力が不足している証拠です。 原文を見たらその訳し方がパッと思い浮かぶようになるまで、翻訳を練習しましょう。

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