翻訳テクニック集 目次

動詞の変遷 (click)

20年以上も技術翻訳をしていると、用語の変遷も目にします。

例えば、マウス ボタンを押すことを「クリックする」と言いますが、1990年代後半の英語ではこんなふうに書いていました。

click on OK button

このclickは自動詞であり、前置詞onの後にクリック対象が置かれています。[OK] ボタンの上にマウス カーソルを合わせてマウス ボタンを押す、という感覚が反映されています。この当時は、まだクリック操作になじみのないユーザが多かったわけです。ちなみに、当時の日本ではパソコン普及率が3割程度であり、ブロード バンド通信サービスはまだ登場していませんでした (日本にADSLサービスが登場するのが1999年、普及するのはまだ何年も後のことです)。

ところが、何年かすると、この書き方を見かけなくなりました。代わりに click OK button と書くことが多くなりました。clickを他動詞として使うことが増え、自動詞として使うことが減ったわけです。

2000年ごろにもclickを他動詞として使う例はありましたが、私が見た範囲では少数派でした。今とは逆です。英語も日々変化しています。

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